糞虫、死ぬなよ!

今日の購入物

ザ・ムーン (1) (小学館文庫)

ザ・ムーン (1) (小学館文庫)

ザ・ムーン (2) (小学館文庫)

ザ・ムーン (2) (小学館文庫)

ザ・ムーン (3) (小学館文庫)

ザ・ムーン (3) (小学館文庫)

ザ・ムーン (4) (小学館文庫)

ザ・ムーン (4) (小学館文庫)

前から探していたのが、古本屋で揃ってるのを発見したので購入。
9人の子供たちの意志が揃うと動く事が出来る巨大ロボット「ザ・ムーン」の
活躍を描いた1972年に連載されてた漫画。
水爆、老人問題とか、当時の社会的な問題を折り込んで話が展開。
(当時の新聞の記事がそのまま漫画に登場してたりする)
春秋伯爵のユートピアの話は、江戸川乱歩の「パノラマ島奇談」に影響受けてるなー、たぶん。
そして、物語の結末は容赦のないバッドエンド。
板チョコを9人でわけて、泣きながらの最後の食事とか、
サンスウとカテイカ(9人の名前はそれぞれ科目になってる)の結婚式とか涙を誘う。


ちなみに、作中で9人の子供達を陰から支えるのが、ザ・ムーンを作らせた魔魔男爵と、
その忠実な部下で、凄腕の忍者?である「糞虫」(本当にこういう名前のキャラクター)なのですが、
この主従関係が素敵すぎるのです。


魔魔「糞虫! 糞虫はおらんか!?」
糞虫「男爵さま、およびでございますか!?」
魔魔「おまえはなにだ、うん? なんだ!?」
糞虫「はーっ、糞でございます」
魔魔「そうじゃ、糞じゃ。おまえは糞じゃぞ!!」
糞虫「はっ、この世で一番きたないもの、それはわたくしめにございます」
魔魔「そうかそうか」
糞虫「もったいなや……わたしめにふれては男爵さまの手がけがれます」
魔魔「糞虫、たのんだぞ」
糞虫「ははーっ」



……これが、物語冒頭で交わされる最初の会話。素敵すぎ。
で、この主従があまりにひどいように見えなくもないのですが、
糞虫が敵との激闘で怪我を負った際にはこんな描写も。


魔魔「(だいぶけがをしているな……)糞虫!!」
糞虫「はっ!!」
魔魔「おまえはなにだ!?」
糞虫「はっ、糞でございます。この世でいちばんきたないものにございます」
バシッ(魔魔男爵、ゴルフクラブで糞虫の背中を打つ)
糞虫「ありがとうございます」
魔魔「糞虫、死ぬなよ!!」
糞虫「ははーっ」



そして、その戦いが終わった後では


魔魔「糞虫、きずのほうはどうだ? だいじをとれよ」
糞虫「ははーっ、もったいなきおことば!!」



な、なんという主従だ……!
間違いなく、この漫画の見所の一つであろう。
ちなみに、ザ・ムーンにインスパイアされて描かれたのが
ぼくらの 4 (IKKI COMIX)

ぼくらの 4 (IKKI COMIX)

だというのは割と有名な話。こっちでは、子供達が動かすロボットが
「ジアース」で、リスペクトっぷりがわかるというもの。
ただ、こっちだと一度動かすたびに子供が一人ずつ死んでいくという
凄まじい設定で。全部立ち読みで済ましてるからなー、そのうち揃えよう。